第38回 電子カルテをさらに便利にしてくれる「タブレット端末」について
現在、新規開業を検討されている先生方は、電子カルテの導入も検討されているケースがほとんどではないでしょうか。
電子カルテを導入することで、受付、検査、診察、会計で行われる様々な記録や計算業務の効率化を図ることが可能となることはもちろん、受付、検査室、診察室の情報共有までサポートしてくれるシステムもあります。
また最近では、訪問診療や待合室での問診をサポートするために、タブレット端末との連携が可能な電子カルテも存在します。
タブレット端末を活用することで、医院内だけでなく訪問診療で訪れた患者宅でも電子カルテにアクセスすることが可能となります。
また、時間外に患者から問い合わせがあった際、ご自宅等にいながら電子カルテにアクセスして、素早く患者データを参照することも可能です。
導入することで様々な事が可能となるタブレット端末ですが、その便利さ故に考慮しなければならないこともでてきます。
1.データの保護について
タブレット端末の中に参照した電子カルテのデータが残されてしまうと、端末の紛失等により情報漏洩のリスクを生んでしまう可能性があります。
タブレット端末使用後は、データが残らない仕組みであることが理想といえます。
-万が一タブレット端末を紛失した場合、速やかに遠隔操作等によりタブレット端末をロックして使用できないようにし、タブレット端末内のデータを消去できる「MDM」というサービスの導入が必須です。
2.通信の保護について
医院外から電子カルテへのアクセスする場合は、SSLやVPNを用いた暗号化通信により保護されることが必要です。
アップルのiPadやiPhone、Androidタブレット、Windowsタブレットについては、上記のSSLやVPNによる暗号化通信をサポートしています。
3.ウイルス対策について
パソコン同様、タブレット端末においてもウイルス対策の検討は必要です。ただ、タブレット端末の種類によりその状況は変わってきます。
(1)アップルのiPhoneやiPadについて
結論から言うと、ウイルス対策ソフトの導入は必要ありません。
新たにアプリをインストールしたり、アプリケーション間のデータ連携を行ったりする場合に備えて、非常に堅牢な仕組みが構築されているためです。
基本的にアップルのAppストアを介さないと、アプリのインストールができない仕組みです。つまり、自由にウイルスが侵入できない仕組みになっています。
(2)NexusやソニーのXPERIA、GALAXY Note等のAndroidタブレットについて
上記のiPhoneやiPadと異なり、アプリのインストールに制限がありません。 アプリの導入が自由で便利な反面、ウイルスの侵入について脆弱である一面もあります。つまり、ウイルスソフトの導入が必須となります。
(3)Surface等のWindowsタブレットについて
Surface等のWindowsタブレットについては、形状が「タブレット」になっているだけで実質「パソコン」であるものがほとんどです。つまりその場合はウイルス対策ソフトの導入が当然必要となります。
数は少ないですが、「Windows RT」と言われるタブレット専用のシステムが使われているタブレット端末も存在します。「Windows RT」のタブレット端末にアプリをインストールするためには、Windowsストアを介す必要があります。
つまりiPhoneやiPadと同様に自由にウイルスが侵入できない仕組みになっています。よって、ウイルス対策ソフトの導入は必要ありません。
タブレット端末を電子カルテと組み合わせて活用することで、蓄積されていく患者情報や診療情報をさらに有効活用することが可能です。
ただ、先生方の診療に寄与する反面、上記の通り様々な検討事項も考慮しなければなりません。
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