第41回 人事・労務管理について
税理士法人 恒輝 福田税務/労務合同事務所です。
ご開業前に気になる事の1つは『就業規則』ではないでしょうか。
就業規則と聞いて、もしかすると「スタッフが10人以上もいないので作成不要なのでは?」とお考えになるかも知れませんね。
労働基準法の第89条において『常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。』とされています。
これをご存知の先生が「作成は不要」であると思われるのも無理はありません。
では10人未満であれば、就業規則がなくてもクリニック運営は大丈夫なのでしょうか?
『就業規則はご開業前にこそ整備を!』これが今回のポイントです!
ご開業の前に「スタッフの解雇の話?」と思われるかも知れませんが、とても重要なのでお伝えします。
これは実際に開業されている院長先生から私どもによくある相談です。
「どうしても解雇したいスタッフがいるけど、どうしたらいいの?」と。
その時は「まず就業規則がなければ、残念ながら解雇は大変難しくなります」とお伝えします。
もちろん、「就業規則があれば解雇が出来る」というわけではありません。
就業規則はクリニックの基本ルールで、大袈裟ではなく『クリニックの法律』とも言えるものなのです。
もしかすると新規ご開業なさる先生方は「最初に細かいルールは作らない方が融通がきいて良いのでは?」とお考えになるかも知れません。
しかし、現実は逆です。
就業規則のない状況つまり“無防備な状態”のままご開業され、残念ながらご開業後すぐにスタッフとのトラブルが発生するクリニックを私たちはいくつも見てきています。
しかしこう言ったからといってなにも、就業規則は先生やスタッフを縛り付けるものではありませんのでご安心ください。
実は事前に整備することで必要のないトラブルを回避できるものなのです。
例えば、もし就業規則を整備せず、年次有給休暇の取得ルールを決めていなかったとしたらどうでなるのでしょう?
スタッフから当たり前のように年次有給休暇申請があった場合、何もルールを決めていなければそのまま取得させることとなり、診療に影響が出ることも考えられますね。
しかしこれを事前に就業規則で定めスタッフにも周知徹底していれば、「この期間はクリニックとしては年次有給休暇の申請を避けてほしい」という※時季変更権(法第39条)でスムースに診療することも可能かも知れません。
就業規則を整備することのメリットは数多くあります。年次有給休暇はその一例ですが、
その他にも助成金の申請要件を満たすものが就業規則である場合なども少なくありません。
ご開業時はただでさえお忙しいので、人事労務に関してはなんとなく後回しになるという気持ちも分かりますが、実はご開業時が肝心です!
後になればなるほど、暗黙のルールを明文化するのにはパワーもコストも膨らみます。
ですので、就業規則はご開業前にこそ整備なさることをお勧めします。
専門家にご相談下さい。
きっとその悩みも安心に変わります。
※…事業の正常な運営を妨げる場合において、使用者が従業員の有給取得の時季を変更できる権利
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今回は、人事・労務管理の専門家から、人事・労務管理についてお話いただきました。
弊社iSTEPは、様々な分野の専門家と連携して、開業支援を行ないます。
開業をお考えの際は、是非ご相談ください。